ABSTRACT 1017(P4-2)
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DNAトポイソメラーゼIIαの発現制御機構の解析:足立典隆, 小山秀機(横浜市大・木原研)

Analysis on the mechanism of DNA topoisomerase IIα gene expression: Noritaka ADACHI, Hideki KOYAMA (Kihara Inst. Biol. Res., Yokohama City Univ.)

【目的】DNAトポイソメラーゼ(トポ)IIα遺伝子の発現制御機構を解明することは、トポII阻害剤を利用した化学療法への応用にきわめて重要である。そこで我々は、マウストポIIα遺伝子のプロモーター領域を単離し、解析を行った。
【方法・結果】トポIIαプロモーター領域をルシフェラーゼ遺伝子に連結し、NIH 3T3 細胞を用いてトランジェントアッセイを行った。その結果、トポIIα遺伝子のプロモーター活性は細胞周期に強く依存していることがわかった。すなわち、G2/M 期で最も高く、G1期で低く、G0期では殆ど活性をもたなかった。この転写制御に関わるシスエレメントを検索するため種々の変異解析を行ったところ、複数の逆向き CCAAT 配列(inverted CCAAT box, ICB)が、G2/M 期における転写活性化に必要であることがわかった。1つの ICB しかもたないコンストラクトでは、この転写活性化はみられなかった。ゲルシフトアッセイを行った結果、ICB に結合するタンパク質として転写因子NF-Y が同定された。一方、転写開始点近傍のSp1サイトを破壊するとプロモーター活性が上昇したことから、この配列が転写を負に制御していることが示唆された。
【結論】トポIIαプロモーターの活性は G2/M 期で最大に達する。この転写活性化には複数の ICB が必要であり、NF-Yの結合により制御されている可能性が高い。