ABSTRACT 1021(P4-2)
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NGFI-B familyにおけるisoformの役割:大倉永也、塚田俊彦、丸山宏二、細野哲司、山口 建(国立がんセ・研・細胞増殖因子)

Possible roles of the isoforms generated from the NGFI-B family genes: Naganari OHKURA, Toshihiko TSUKADA, Kouji MARUYAMA, Tetsuji HOSONO, Ken YAMAGUCHI (Growth Factor Div., Natl. Cancer Ctr. Res. Inst.)

【目的】NGFI-B familyはnuclear receptor superfamilyに属する転写調節因子である。このfamilyに属する3つの因子(NGFI-B, Nurr1, NOR-1)は細胞の分化、がん化、アポトーシスに深く関わっており、これらの因子を介したシグナル伝達機構の解明は重要であると考えられる。そこでNGFI-B family による転写調節に影響を及ぼす可能性のある因子の同定及びその解析を行った。【方法及び成績】NGFI-B family共通のターゲットDNA配列(NBRE)に結合する因子のスクリーニングを行い、Nurr1 isoform (Nurr2) およびNOR-1 isoform (NOR-2) を同定した。これらのisoformは異なったpromoterにより転写され、alternative splicing によりC末側のligand binding domainを欠損した形で翻訳される。Nurr2はヒト、マウス、ラットに同一のisoformが認められ、alternative splicingの様式も種間で完全に保存されていた。発現様式はNurr2とNurr1とで極めてよく似た傾向を示し、TPA刺激等により一過性の誘導が認められた。またNurr2は単独では転写促進能を持たず、NGFI-B familyの3者いずれに対してもdominant negativeの活性を示した。NOR-1のisoformであるNOR-2においても同様にすべてのメンバーに対してdominant negativeの活性が認められた。【考察及び結論】以上の結果からNGFI-B familyによるシグナル伝達機構には、C末のアミノ酸配列を欠損したisoformが負の制御因子として働いている可能性が示唆された。