ABSTRACT 1025(P4-3)
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オオモンシロチョウに存在する細胞傷害性因子(ピエリシン-B)の精製:渡辺雅彦、甲野拓郎、小山恒太郎、杉村 隆、若林敬二(国立がんセ・研・がん予防)

Purification of cytotoxic substance (pierisin-B) in Pieris brassicae: Masahiko WATANABE, Takuo KONO, Kotaro KOYAMA, Takashi SUGIMURA, Keiji WAKABAYASHI (Cancer Prevention Div., Natl. Cancer Ctr. Res. Inst.)

 昆虫の生理機構は哺乳類のそれと大きく異なることより、昆虫には未知の生理活性因子が存在している可能性がある。私達は、モンシロチョウの体液中から蛋白質性細胞傷害因子(ピエリシン-R)を精製し、本因子ががん細胞に対しアポトーシスを誘導することを見い出し、すでに発表した。今回、モンシロチョウ属の模式種で、世界各地に広く分布するオオモンシロチョウの細胞傷害性因子について解析した。
 オオモンシロチョウさなぎから体液を抽出し、硫安沈澱および3種のカラムクロマトグラフィーを用いて細胞傷害性因子を精製し、ピエリシン-Bと命名した。ピエリシン-Bは SDS-PAGE でピエリシン-Rとほぼ同一の分子量、約 100 kDa、を示した。ヒト胃がん培養細胞 TMK-1 に対する 50% 増殖阻害濃度は 0.6 ng/ml であり、ピエリシン-Rのそれとほぼ同じであった。ピエリシン-Bは、ピエリシン-Rと同様、TMK-1 細胞にアポトーシスを誘導することが示された。現在ピエリシン-Bのアミノ酸配列を解析するとともに、ピエリシン-BとRの類似点および差異について検討している。