ABSTRACT 1029(P4-3)
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Propidium IodideとDigitoninを併用したアポトーシスの定量的死細胞率測定法:水元一博,小川尚洋,新山秀昭,楠本正博,前原直樹,佐藤典宏,田中雅夫(九大・医・一外)

Quantitative deteremination of apoptotic cell death using propidium iodide and digitonin:Kazuhiro MIZUMOTO, Takahiro OGAWA, Hideaki NIIYAMA, Masahiro KUSUMOTO, Naoki MAEHARA, Norihiro SATO, Masao TANAKA (Dept. of Surg.I, Kyushu Univ. Fac. of Med.)

【目的】in vitroにおけるアポトーシスの死細胞率を、Propidium Iodide(PI)とDigitoninを併用して定量的に測定し、その有用性を検討した。
【対象と方法】ヒト膵癌培養細胞株MIA PaCa-2にエトポシド10μMを投与してアポトーシスを誘導した。最初に蛍光色素であるPIを投与して、Fluorescence Multi-Well Plate Readerを用い、(a) 死細胞中のDNAと結合したPI量を測定した。次にdigitoninを投与して全ての細胞膜を破壊し、(b)全細胞中のDNAと結合したPI量を測定した。その比率 [(a)/(b)] でアポトーシス死細胞率を決定した。蛋白合成阻害剤による細胞死抑制効果も同時に判定した。
【結果】エトポシド10μMの投与によって、MIA PaCa-2は細胞増殖が停止し、4日後に76%の細胞死を認めた。また、この細胞死は蛋白合成阻害剤によって明らかに抑制された。これらの結果は、トリパンブルー法で直接的に測定した死細胞率と極めて類似した結果を示し、かつ2時間以内で簡便に測定することができた。
【結論】PI法は、アポトーシスの定量的死細胞率を正確かつ迅速に測定でき、さらに細胞増殖率も同時に測定可能であり、アポトーシスを評価する上で有効な方法であると思われた。