ABSTRACT 1030(P4-3)
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アポトーシス細胞の誘導に伴うヒストン H2Bおよび H3リン酸化の普遍性:網代廣三,  西川安廣愛知がんセ、研、生物)

Universality of histone H2B and H3 phosphoryla- tions during induction of human apoptotic cells:Kozo AJIRO, Yasuhiro NISHIKAWA (Lab. of  Cell Biol., Res. Inst., Aichi Cancer Center)

「目的」多くのアポトーシス細胞ではクロマチンの凝縮および、ヌクレオソーム単位のDNA断片化を伴う。しかし、アポトーシス特異的シグナルによる細胞核崩壊の機序についてはまだ不明である。我々は、アポトーシス細胞において、ヌクレオソーム蛋白であるヒストン H2Bおよび H3がリン酸化されることを見いだした。そこで、このアポトーシス過程におけるこれらのヒストンリン酸化の普遍性について、数種のヒト細胞に対する種々の誘導剤処理によるアポトーシス細胞において詳細に調べた。「方法」HL-60、HeLaおよび Jurkat細胞を、抗がん剤であるVP-16, cisplatinや, A23187, ethanol、UV、抗-Fas等で処理した。誘導過程のアポトーシス細胞を32Pリン酸で標識し、クロマチンからヌクレオソーム蛋白を抽出し、酢酸ー尿素ゲル電気泳動、TLCペプチドマップで分析した。「結果」上記のいずれのアポトーシス細胞においても、H2Bおよび H3がリン酸化され、H2Bは塩基性の高い領域がリン酸化された。また、H3のリン酸化は極性の高い領域がリン酸化され、M期特異的なリン酸化サイトではなかった。「考察」ヒト細胞のアポトーシスでは、H2Bおよび H3のリン酸化がほぼ普遍的に生ずることが分かった。通常 H2Bは in vovoではリン酸化されず、in vitroでもヌクレオソーム内の H2Bはリン酸化されない。この点から、これらのリン酸化はアポトーシスに特異的なクロマチン構造に関連しているものと推測され、アポトーシスの生化学的指標の一つとして有用と考えられる。