ABSTRACT 1037(P4-3)
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放射線アポトーシスのp53とミトコンドリア制御:藤原美定、野田朝男(神戸大・医・放基)

p53 and mitochondrial regulation of radiation-induced apoptosis: Yoshisada FUJIWARA, Asao NODA (Dept. of Radiat. Biophys.& Genet., Kobe Univ. Sch. Med.)

【目的】放射線アポトーシスは主にp53依存性である。まだ不明なp53-Baxの下流機構について感受性と抵抗性の細胞を用いて、Bcl-2とBaxの発現、ミトコンドリア膜電位(Dym)、caspase-3活性化を検討した。
【方法】高感受性Black93細胞と抵抗性Reh細胞でのX線アポトーシス、p53蓄積、Bcl-2とBax発現、DiOC6(3)によるDym、caspase-3酵素活性、DNA断片化を研究した。
【結果と考察】変異p53/Bcl-2+/Bax−のReh細胞はX線アポトーシスに著しく抵抗性であったが、p53/Bcl-2ー/Bax+のBlack93細胞は超高感受性(1-5 Gy, 6hで70-95%アポトーシス)であり、p53依存性Bax発現に基づいた。Bcl-2+-RehではX線照射・非照射に関わらず高Dym値を示し、5 Gyによるcaspase-3活性化は見られなかった。しかし、Bax+-Black93細胞では非照射でもDymは低い(PT pore)が、caspase-3は活性なく、5 Gy照射によって顕著に活性化された。したがって、放射線アポトーシスでは、p53−Bax−Dym低下−ミトコンドリア損傷−caspase-3活性化経路が主に働いたので、ミトコンドリア制御が重要と考がえられる。