ABSTRACT 1040(P4-3)
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Fas 誘導アポトーシスにおける caspase cascade の アフィニティー・ラベリング法を用いた解析:平田大二1,高橋淳1,山本孝吉1,笹田昌孝2,内山卓11京大・血液病態学,2京大・医短)

Analysis of caspase cascade in Fas-stimulated Jurkat cells using affinity labeling technique: Hirokazu HIRATA1,Atsushi TAKAHASHI1,Kokichi YAMAMOTO1,Masataka SASADA2,Takashi UCHIYAMA 1(Dept.Hematol.Oncol.,Kyoto Univ.,2Col.Med.Technol.,Kyoto Univ.)

【目的】Fas刺激によるアポトーシス細胞死で、ICEファミリープロテアーゼ(caspases)が必須であるが、複数のcaspasesが、どのような機構で活性化するのか、各々のcaspaseがどういった役割を担っているのか不明であった。我々は、アフィニティー・ラベリング法と、新規のcaspase阻害剤により、Fas刺激細胞におけるcaspaseの活性化機序と、個々のcaspaseの役割を検討した。
【方法】caspase-3および -6の新規阻害剤である、DMQD-CHOおよびVEID-CHO存在下で 抗Fas-IgM抗体にてヒトJurkat細胞を刺激した。これらの細胞質抽出液に存在する活性化caspasesをYV(bio)KD-aomkでラベルし、SDS-PAGEの後、ニトロセルロース膜に ブロッティングし、streptavidin-peroxidase、ECLにて検出した。同時に、細胞の形態学的、生化学的変化を光学、蛍光顕微鏡およびフローサイトメトリーにて観察した。
【結果】Fas刺激により活性化されたcaspase-8はcaspase-3およびcaspase-7を、さらに活性化caspase-3がcaspase-6をそれぞれ活性化するというプロテアーゼカスケードの存在が示唆された。また、caspase-3はアポトーシス小体の形成と核の早期変化(核周へのクロマチン凝集)、DNA断片化、phosphatidylserineの細胞表面への出現、caspase-6は核の後期変化 (核の縮小と断片化)、またcaspase-7は細胞質の縮小の上流に位置する一方、ミトコンドリア膜電位の低下は、caspase-3、-6以外のcaspaseの下流に位置することが示唆された。
【考察】各々のcaspaseはカスケードを形成すると同時に、アポトーシスの形態学的、生化学的変化に独自の役割を果たしていると考えられた。