ABSTRACT 1043(P4-3)
温熱誘導アポトーシスのシグナル伝達におけるICE-like protease活性化の意義:小林大介1,渡辺直樹1, 山内尚文2, 岡本哲郎2, 辻 直樹2, 佐々木宏嘉2, 佐藤 勉2, 萩野 司2, 新津洋司郎2(1札幌医大検査部, 2札幌医大第4内科)
Significance of ICE-like protease activation during heat-induced apoptosis: Daisuke KOBAYASHI1, Naoki WATANABE1, Naofumi YAMAUCHI2, Tetsuro OKAMOTO2, Naoki TSUJI2, Hiroyoshi SASAKI2, Tsutomu SATO2, Tsukasa HAGINO2, Yoshiro NIITSU2 (1Dept. of Lab. Diag., 2 4th Dept. of Int. Med. Sapporo Med. Univ.)
【目的】温熱誘導アポトーシスのシグナル伝達機構としては,wild p53保有細胞におけるp21/WAF-1の惹起が報告されているが,ICE-like proteaseの役割については不明な点が少なくない。そこで今回,mutant p53を保有する膵癌 (MIAPaCa-2, PANC-1) 細胞を対象とし,温熱処理がICE, CPP32/Yamaを含むアポトーシス関連分子の発現に及ぼす影響について検討した。【方法】細胞を43℃で1時間加温後,24時間培養した。アポトーシスはDNA ladderにより検出した。p53及びp21/WAF-1の発現量は,それぞれpAb240抗体,sc187抗体を用いWestern blot法で調べた。ICE, CPP32/YamaのRNA発現量はRT-PCR法を用い,加温後6時間目まで経時的に解析した。【結果】(1) 両細胞とも加温によりmutant p53の発現が上昇したが,p21/WAF-1の誘導はみられなかった。(2) 一方,ICE及びCPP32/YamaのRNA発現量はそれぞれ約1.3 - 1.4倍,1.4 - 1.9倍に増加した。さらに加温によるアポトーシスは,ICE阻害剤 (Ac-YVAD-CMK)及びCPP32/Yama阻害剤 (Ac-DEVD-CHO)の添加により,著明に抑制された。【結語】Mutant p53を保有する腫瘍細胞ではICE-like proteaseの活性化を介し,温熱誘導アポトーシスが起こることが示唆された。