ABSTRACT 1046(P4-3)
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MOLT-4細胞におけるX線誘発アポト−シスに対するcaspase阻害剤の影響:中野久子1, 篠原邦夫, 小原道法(都臨床研・1放医、2東大・医)

Effect of caspase inhibitors on X-ray-induced apoptosis in MOLT-4 cells : Hisako NAKANO1, Kunio SHINOHARA2, Michinori KOHARA1 (1Dept. of Radiat. Res., Tokyo Metropolitan Inst. Med. Sci., 2Facult. Med., Univ. of Tokyo)

[目的]ヒトT細胞型白血病由来MOLT-4細胞でのX線による細胞死は、アポト−シス誘発による。一方、様々な刺激によるアポト−シス誘発時にcaspaseの活性化がおこり、またcaspaseの阻害はアポト−シスを抑制することが知られている。本研究では、MOLT-4細胞におけるX線誘発アポト−シス(細胞死)に対するcaspaseの関与について検討した。[方法]細胞死は、色素排除能テストとコロニ−形成能により判定した。アポト−シスの判定は細胞の形態観察(カルノア固定ーギムザ染色像)、DNAラダ−検出により行った。caspaseの阻害剤としては、Ac-DEVD-CHOとAc-YVAD-CHOを用いた。[結果]9Gy照射8時間後におけるアポト−シスおよび死細胞率は、caspase-3阻害剤のAc-DEVD-CHOによりコントロ−ルレベルまで顕著に抑制されたが、コントロールと異なる細胞像がみられた。Ac-YVAD-CHOでは、抑制効果はなかった。2Gy照射24時間後ではAc-DEVD-CHOにより、死細胞率は減少したが、コントロ−ルに比べ顕著な増加がみられ、その抑制効果は不完全であった。また、コロニ−形成率への阻害剤による防護効果はなかった。[結論]X線によるMOLT-4細胞のアポト−シスには、caspase-1ではなくcaspase-3が関与すること、及び細胞死の過程にはcaspase-3以外の経路があることが示唆された。