ABSTRACT 1047(P4-3)
ヒトBurkitt型リンパ腫細胞株(HBL-9)のapoptosis発現制御機構の検討:阿部正文, 田崎和洋, 小野伸高(福島医大・医・病理)
Apoptotic mechanisms of human Burkitt’s lymphoma line (HBL-9) : Masafumi ABE, Kazuhiro TASAKI, Nobutaka ONO (Dep. of Path. Fukushima Med. Uni.)
最近我々が樹立した新しいBurkitt型リンパ腫細胞株HBL-9(第54回日本癌学会総会)のapoptosis発現制御機構を明らかにするため、分子機序の面から検討した。HBL-9細胞株でみられるspontaneous apoptosisあるいはdrug (anti-Fas monoclonal antibody, actinomycin D, cycloheximide) -induced apoptosisはICE-like protease阻害剤(Z-Asp-CH2-DCB)で抑制されたが、ICE protease阻害剤(Ac-YVAD-CHO)あるいはCPP32/Yama/Apopain protease阻害剤(Ac-DEVD-CHO)では抑制されなかった。このことはHBL-9細胞におけるspontaneous apoptosisとdrug-induced apoptosisには同じapoptosis発現機構が関与しているが、上流のICE proteaseと下流のCPP32/Yama/ApopainproteaseからなるICE protease cascade機構は関与していない可能性を示唆した。さらにHBL-9細胞のspontaneous apoptosis、あるいはdrug induced apoptosisにおけるICE/ICE様protease活性とCPP32/Yama/Apopain protease活性およびそれに対するICE family protease阻害剤の影響を検討した。その結果、ICE/ICE様protease活性はspontaneous apoptosisおよびanti-Fas-induced apoptosisでは全く認められなかったが、CPP32/Yama/Apopain protease活性は両方に認められた。このCPP32/Yama/Apopain protease活性はICE protease阻害剤では抑制されなかったが、ICE-like protease阻害剤で抑制され、apoptosisも抑制された。一方CPP32/Yama/Apopain protease阻害剤はCPP32/Yama/Apopain活性を抑制したが、apoptosisを抑制しなかった。これらの成績はHBL-9細胞のapoptosis発現機構にはCPP32/Yama/Apopain以外のICE family proteaseが関与している可能性を示唆した。