ABSTRACT 1048(P4-3)
光力学的癌治療での活性酸素生成とアポトーシス誘導の相関について:三好憲雄1,金朝暉2,石黒和守2,今村好章1,福田優1 (福井医科大学1第一病理学,皮膚科2)
Interaction of active oxygen species produced by photodynamic threatment of cancer and the apoptotic cell death: Norio MIYOSHI1, Yoshiaki IMAMURA1 and Masaru FUKUDA1 (1Dept. of Pathol., 2Dept of Delmatol., Fukui Med. Univ.)
[目的]近年光増感剤とレーザー光照射による表在性初期癌の光力学的治療法が盛んに臨床応用がなされている。今回本治療法で生成した活性酸素がアポトーシス死に関与している事実が分かったので報告する。[材料と方法]使用した光増感剤はフェオフォルバイド-aの誘導体であるPH-1126とヘムの前駆体である5-Aminolevulinic acid (5-ALA)をレーザーは波長可変のOptical Parametric Oscilator (OPO:630,650nm;IHI)を使用した。治療した癌培養細胞をサンプリングしてDNA断片化の解析やフローサイトメーターで細胞解析を行なった。[結果と考察](1)PH-1126単独だけでも高濃度の時はアポトーシスは誘導され、誘導されない低濃度でのレーザー光照射の3時間後すでにアポトーシス特有のDNAの断片化が観測された。(2)5-ALAとレーザ光照射によりレーザ光照射後12時間目にはその誘導が観測された。(3)従来の活性酸素生成の結果と今回の成果より、本光力学的癌治療の治癒メカニズムとして、照射後早い時期に誘導されるものと通常G1アレスト後に誘導される二種類のアポトーシス細胞死が光増感剤の違いすなわち光力学的癌治療時に生成する活性酸素種の違いから制御されていることが示唆された。