ABSTRACT 1051(P4-3)
フラボノイド・バイカリンによるアポトーシス誘導機構の解析:上田修吾1,2,中村 肇1,2,増谷 弘1,高林有道2,山岡義生2,淀井淳司1(京大・1ウイルス研生体応答学,2消化器外科)
Analysis of signal transduction of apoptosis induced by flavonoid, baicalin : Shugo UEDA1,2, Hajime NAKAMURA1,2, Hiroshi MASUTANI1, Arimichi TAKABAYASHI2, Yoshio YAMAOKA2, Junji YODOI1 (1Institute For Virus Research, Dept. of Biological Responses, 2Dept. of Gastrointestinal Surgery, Kyoto University)
【目的】 フラボノイド・バイカリンbaicalinは、生薬黄ゴンの主成分のひとつであり、これまでに細胞障害活性を有することが報告されている。我々は、昨年の本学会総会において、チオール基(SH基)酸化剤200uM diamideが、ヒトT細胞白血病細胞より樹立されたJurkat細胞にcaspase-3(CPP32)活性化とアポトーシスを誘導することを報告した。今回我々は、一般的に抗酸化剤とされるbaicalinによるアポトーシス誘導機構について、diamideと比較し検討を加えた。
【方法】 Jurkat細胞をdiamideまたはbaicalinを添加培養した。細胞内活性酸素(O2-)産生は、添加培養したdihydroethidiumの酸化により、flow cytometerを用いて検出した。caspase-3(CPP32)活性は、蛍光基質を用いて測定した。ミトコンドリアから細胞質内へのチトクロームcの放出について、western blottingにより調べた。
【結果】 baicalin添加培養により、Jurkat細胞は200uM diamideの場合と同様にcaspase-3(CPP32)活性化とアポトーシスが誘導された。その際、細胞内にO2-が産生したが、そのO2-産生量は細胞がネクローシスに陥る500uM diamide添加培養時より少なく、細胞内レドックスの維持されていることが示唆された。
【結論】 一般的には抗酸化剤とされるバイカリンが、酸化ストレスとなり細胞のアポトーシスを誘導した。アポトーシス誘導の際、細胞内チオールによる細胞内レドックス環境維持の必要性が示唆された。