ABSTRACT 1053(P4-3)
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ヒト造血幹細胞の放射線誘発アポトーシスに関する研究:林 奉権1、京泉誠之1、楠 洋一郎1、瀬山敏雄1、鈴木文男2、J.E. Trosko31放影研・放生部, 2広島大・原医研・放射線応答, 3ミシガン州立大・医・小児/人類発生)

Radiation-induced apoptosis in hematopoietic stem cells: Tomonori HAYASHI1, Seishi KYOIZUMI1, Yoichiro KUSUNOKI1, Toshio SEYAMA1, Fumio SUZUKI2, J.E. Trosko (1Dept. of Radiobiology, RERF, 2 Dept. Regu. Radiobiol. RIRBM, Hiroshima Univ., 3Dept. Ped./Human. Dev., Michigan State Univ.)

【目的】放射線によるアポトーシスは血液細胞の種類や分化過程の違いによって異なると考えられる。今回、臍帯血幹細胞及び分化過程にある細胞の放射線によるアポトーシス誘導能を比較し、アポトーシス誘導において重要な役割を果たしている事が示唆されている細胞内活性酸素(O2.-)及び細胞内pH(pHi)の変化を調べた。
【方法】X線照射後、各細胞亜集団は蛍光(FITC, PE, CY)標識した抗CD34, CD38抗体を用いて染色した後、アポトーシスの検出は7-AAD、細胞内の活性酸素(O2.-)はHydroethidineで染色し、FACScanにより解析を行った。また、pHiは放射線照射後carboxy-SNARF-1で染色、ACASを用いて画像解析した。
【結果・考察】放射線照射によるアポトーシス誘導能は幹細胞の分化度に伴い低下していた。つまりCD34+/CD38->CD34+/CD38+>CD34-/CD38+の順であった。また、放射線照射後アポトーシス誘導細胞において早期にpHiの低下、O2.-の細胞内レベルの上昇が検出されたが、最終分化細胞のpHi及びO2.-の変化は認められなかった。この結果から、放射線により生じるpHi、O2.-の変化が細胞の分化度によって異なる事が、各分化過程の細胞におけるアポトーシス誘発の差に関わっていると考えられる。