ABSTRACT 1055(P4-3)
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放射線誘発アポトーシスの細胞周期依存性メカニズム- 間期死と増殖死の観点から: 四ノ宮成祥1, 久野幸恵1, 2, 山本富裕美3, 六反田亮11防衛医大・微生物、2ポーラ化成・医薬品研究所、3防衛医大・放医)

Mechanism of cell cycle dependency in radiation-induced apoptosis - From view points of interphase cell death and proliferative cell death : Nariyoshi SHINOMIYA1, Yukie KUNO1, 2, Fuyumi YAMAMOTO3, Makoto Rokutanda1 (1Dept. of Microbiol., Natl. Def. Med. Col., 2Pola R&DLaboratories, 3Dept. of Radiol., Natl. Def. Med. Col.)

【目的】放射線細胞死の形態には間期死および増殖死の二者がある。しかし、放射線誘発アポトーシスとこれらの細胞死の関連性は今だ明らかでない点も多い。腫瘍細胞間でアポトーシス感受性が異なる原因として、細胞周期の進行状況の差や、細胞周期各時点における細胞死メカニズムの違いが考えられる。今回我々は、細胞周期依存性の点から放射線誘発細胞死について調べ、間期死と増殖死のメカニズムの違いを検討した。
【方法】EL-4, U937, HL-60の各細胞に放射線照射を行い、apoptotic rate (sub-G1 fraction), DNA strand break (nick end labelingによる検出), BrdU陽性S期分画をセルソータにより計測した。アガロース電気泳動でDNA ladderの有無を観察した。Caspaseの活性化はアクチン及びPARPの切断を指標にSDS-PAGE, Western blotにより確認した。
【結果】U937とHL-60は、20Gy (高線量)照射後6時間以内にsub G1fractionの増加およびDNA ladder出現をみた。S期細胞のDNAstrand breakおよびカスパーゼ活性化がみられ、急速に間期死が誘導されていた。一方、5Gy (低線量) 照射では、細胞分裂終了後G1期に進行しアポトーシスに陥いるいわゆる増殖死のパターンを示した。低感受性のEL-4細胞は、高線量でも増殖死を起こした。
【考察】高線量照射後に起きる間期死(S期の急速な死)と低線量照射後あるいは低感受性株に起きる増殖死とで、細胞死に陥る細胞周期分画が異なることを見い出した。癌の放射線感受性はアポトーシスの細胞周期依存性メカニズムと密接に関わっていることが示唆された。