ABSTRACT 1056(P4-3)
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UVA 照射によるヒト遺伝子損傷とアポトーシスの機構の解明:及川(多田)佐枝子,及川伸二,川西正祐(三重大・医・衛生)

Possible mechanisms of DNA damage and apoptosis induced by UVA: Saeko TADA-OIKAWA,Shinji OIKAWA,Shosuke KAWANISHI (Dept. of Hygiene, Mie Univ. Sch. Med.)

【目的】太陽紫外線は皮膚癌を発生させる。これまで紫外線による発がん機構については UVB による DNA 損傷が主に研究されてきたが、我々は UVA も発がん性を示すにことに注目し、その DNA 損傷機構を解明してきた。今回培養細胞における UVA による DNA 損傷とアポトーシスの機構を検討した。【方法】培養細胞 に UVA (365-nm) を照射し、(1) 酸化的 DNA 損傷の指標である 7,8-dihydro-8-oxo-2'-deoxyguanosine (8-oxodG) を定量した。(2) パルスフィールドゲル電気泳動法にて、巨大 DNA 断片を検出し、さらにアポトーシスの指標であるラダー状の DNA 断片化を検出した。(3) 細胞内の caspase-1, 3 活性を測定した。(4) Flow cytometry 法 により、ミトコンドリアの膜電位の変化を検出した。【結果】UVA 照射により細胞内で 8-oxodG の生成量が増加した。また、約 2 Mb および約 50 kb の巨大 DNA 断片が検出され、ラダー状の DNA 断片化が検出された。ミトコンドリアの膜電位の低下および caspase-3 活性の上昇が認められた。【考察】UVA は酸化的 DNA 損傷をもたらし、その結果ミトコンドリアの膜電位の低下を経て caspase-3 が活性化され、アポトーシスに至ることが示唆された。従って、損傷を受けた DNA は修復されるが修復ミスがあると変異を起こし発がんに至る可能性があり、損傷が修復できないくらい強いとアポトーシスに至ると考えられる。