ABSTRACT 1063(P4-3)
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ベスナリノンによる無顆粒球症発生機構におけるセラミドの関与:鈴木祥子1  岡崎俊朗2 山本浩貴3 梅原久範4 大東道治1 堂前尚親41大歯大・小歯、2京大・医・一内、3大歯大・口外、4大歯大・内)

Involvement of ceramide in vesnarinine-caused agranulocytosis Yoshiko SUZUKI1, Toshiro OKAZAKI2, Hirotaka YAMAMOTO3, Hisanori UMEHARA4, Michiharu DAIDO1 and Naochika DOMAE4 (1Dept of Pediatric Dent.,3Dept.of Oral Maxillofacial surgery,and 4Dept.of Medicine.,Osaka Dent.Univ.,2Dept.of Hematology/Oncology, Kyoto Univ.)

(目的) ベスナリノンは,経口強心薬(心筋陽性変力増強剤)として心不全,虚血性心疾患の治療薬として使用されているが,副作用として,無顆粒球症の発現が約0.3%に認められる。白血球減少の発生機序に関してベスナリノンによる顆粒球系に特異的な増殖抑制や分化・アポトーシス誘導作用のみならず造血微少環境であるストロ−マ細胞への効果が想定される。今回、これらのヴェスナリノンの作用がアポトーシス誘導メディエーターであるセラミドを介しているかについて、種々の細胞株(T、Bリンパ球性、巨核芽球系 および赤芽球系)より細胞増殖作用が特に高度であった骨髄球系細胞HLー60とストローマ様活性を持つ線維芽細胞HFLー1を用いて検討した。 (結果) ベスナリノン添加時に顆粒球へ分化可能なHLー60細胞において増殖抑制が認められ,NBT(ニトロブルーテトラゾリューム)還元反応活性が濃度依存性に増加していた。また,高濃度ヴェスナリノン添加の場合にDAPI染色にてアポトーシス誘導の増加を認めた。ベスナリノン添加時にDGK法により測定した細胞内セラミドは経時的に増加した。HLー60細胞においてTNF-α添加時にベスナリノン,セラミドの同時添加により、IL-8の分泌が相乗適に増加した。また、HFLー1細胞ではベスナリノン,セラミドの同時添加によりTPA刺激によるLー6及びILー8の分泌が抑制された。 (結論) ベスナリノンは顆粒系細胞においてセラミド産生を介して増殖抑制、分化・アポトーシスを誘導するばかりでなく同時にストローマ細胞のサイトカイン産生を抑制し造血微少環境にも影響を与え白血球減少を引き起こすことが示唆された。