ABSTRACT 1065(P4-3)
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亜鉛により誘導されるMOLT4細胞の細胞死 : 井口和弘1, 宇佐美好子1, 平野和行1, 浜武通子2, 石田良司31岐阜薬大, 愛知がんセ・2病・薬剤, 3研・化療)

Cell death of MOLT4 cells induced by zinc : Kazuhiro IGUCHI1, Yoshiko USAMI1, Kazuyuki HIRANO1, Michiko HAMATAKE2, Ryoji ISHIDA3 (1Gifu Pharm. Univ., 2Dept. Pharmacy, 3Lab. Chemother., Aichi Cancer Center)

【 目的 】 亜鉛はDNAの断片化を阻害しアポトーシスを抑制するため、細胞内の亜鉛量はアポトーシスに影響を与えることが知られている。しかしDNAの断片化はアポトーシス後期に起こる現象で、亜鉛が初期のアポトーシスを阻害するかどうかは不明である。そこで、亜鉛による細胞死におけるアポトーシスの関与を明らかにする目的で、MOLT4細胞を用い、細胞死の初期に起こる生物現象を解析した。
【 方法 】 アポトーシスは (1) hypodiploid cellの出現 (2) アネキシン染色による膜フォスファチジルセリンの細胞膜外部への露出 (3) シトクロームcのミトコンドリアから細胞質への放出等を指標にして解析した。
【 結果および考察 】 MOLT4細胞の亜鉛による細胞死においてアポトーシスの初期現象である膜フォスファチジルセリンの細胞膜外露出、ミトコンドリア膜タンパク質7A6の誘導は観察されたが、caspase-3の活性化、DNA断片化の認められなかった。亜鉛はMOLT4細胞に初期のアポトーシスを誘導するが、caspaseの活性化以降の段階は阻害することが明らかになった。現在、シトクロームcのミトコンドリアから細胞質への放出、細胞内ATPレベルの変化について検討中であるので併せて報告する。