ABSTRACT 1069(P4-3)
 ポスターセッション一覧 トップ 


ガングリオシドGM3によるヒト大腸癌細胞の細胞周期制御と分化・アポトーシス誘導:野尻久雄1, 山名秀明2 (1帝京大・薬, 2久留米大・医・1外)

Regulation of cell cycle and induction of terminal differentiation and apoptosis by ganglioside GM3 in human colon carcinoma cells: Hisao NOJIRI1, Hideaki YAMANA2(1Fac. Pharmaceutical Sci., Teikyo Univ., 2First Dept. Surgery, Kurume Univ., Sch. Med.)

【目的】我々は、ガングリオシド生合成調節物質でGM3の発現を人為的に調節することにより、ヒト大腸癌細胞に分化・アポトーシスを誘導できることを示してきた。今回、この機構解析の一環としてG3M自身の活性および細胞周期制御との関連性を検討した。また、アポトーシス誘導活性が報告されているセラミド (C2-ceramide; C2-Cer) の作用との比較を行った。【方法】ヒト大腸癌細胞株HCT116をGM3、Brefeldin A (BFA) 、C2-Cer で処理し、細胞周期上の動態をフローサイトメーターで解析した。【結果および考察】GM3 処理細胞では、G1期arrestが認められ、G1期からの細胞周期離脱に引き続いてアポトーシス細胞が出現した。同様な変化は、BFAでGM3を増加させた細胞においても認められた。C2-Cer処理細胞では、G1期arrestは起こらず、G2/M期にある細胞の増加に引き続いてアポトーシス細胞が増加した。以上のことから、1)GM3によるアポトーシスは、G1期で細胞周期を外れた後、終末分化に伴って起こること、2)セラミドによるアポトーシスは、必ずしも分化を介さずにG2/M期で細胞周期を外れて起こることが示された。