ABSTRACT 1072(P4-3)
大腸がん細胞における、IFN-gamma誘導アポトーシスに対するアラキドン酸の影響:大畠武二1,2,福田一典1,杉村隆1,若林敬二1(1国立がんセ・研・がん予防、2山之内製薬)
Effect of arachidonic acid on IFN-gamma-induced apoptosis in colon cancer cells: Takeji OHATA1,2, Kazunori FUKUDA1,Takashi SUGIMURA1, Keiji WAKABAYASHI1(1Cancer Prevention Dev., Natl. Cancer Ctr. Res. Inst., 2Yamanouchi Pharm.Co.,Ltd.)
【緒言】アラキドン酸(AA)代謝は大腸発がんに関与している事が指摘されている。そこで、大腸がん細胞における、IFN-γ誘導アポトーシスに及ぼすAA及びAA代謝物の影響を検討した。
【方法】大腸がん細胞はWiDr細胞を用いた。Cell viabilityはMTT法、PGE2はEIA、アポトーシスは形態及びDNA fragmentation、蛋白レベルはwestern blotにより討した。
【結果及び考察】IFN-γ (25ng/ml)で誘導したWiDr細胞のアポトーシスは0.025mMのAAを添加することにより顕著に抑制された。AAのアポトーシス抑制作用はcPLA2阻害薬であるmethyl arachidonyl fluorophosphonateの添加により低下した。一方、IFN-γ誘導アポトーシスは種々のcyclooxygenase及びlipoxygenase代謝物を添加しても抑制されなかった。アポトーシス抑制因子であるBcl-XLの蛋白レベルはIFN-γ処理により低下し、AA添加によりその低下は阻害された。以上の事より、WiDr細胞をIFN-γで処理するとBcl-XLが低下し、アポトーシスが誘導され、AAはBcl-XLの低下を抑制し、アポトーシスを阻害することがわかった。大腸がん予防には、AA生成量の抑制も重要であると考えられた。