ABSTRACT 1075(P4-3)
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c-Mycと活性化Rasによりがん化した細胞において活性化Rasはアポトーシス抑制に働いている:常岡 誠(久留米大、分子生命科学研究所、細胞)

An activated Ras prevents apoptosis in cells transformed by c-myc and the activated ras: Makoto TSUNEOKA (Div. of Cell Biology, Institute of Life Science, Kurume University)

(目的)初代培養細胞など正常細胞の性質を保っている細胞をがん化するためには少なくとも2種類のがん遺伝子が必要である。このようながん化協調作用を示し、最も早くから広く知られているペアーはc-mycと活性化rasである。しかしこの2つの遺伝子の協調作用機構はいまだ不明瞭のままである。そこで本研究ではまずc-mycとrasの癌細胞中での働きを明らかにすることを試みた。
(結果及び結論)Rat fibroblast cell line にc-mycとv-rasを導入し癌細胞を作った。この際2つのがん遺伝子の活性発現を人為的にコントロールできるように工夫した。この細胞を使って、1、がん細胞中でc-Mycがアポトーシスを起こすこと、2、そのアポトーシスを活性化Rasが抑制することがわかった。注目すべきことに、ここでのアポトーシスは今まで知られているMyc依存的アポトーシスとは異なり、細胞増殖にとって好ましい条件下で観察された。従って、このアポトーシスは新しいタイプのものであり、また活性化Rasによるアポトーシス抑制はがん細胞が実際に増殖し広がっていくときに重要な働きをしていると考えられる。尚この研究は目加田英輔教授(久留米大、分子生命研、細胞)の協力を得て行われた。