ABSTRACT 1108(P4-5)
WT1 遺伝子の固形癌におけるoncogenicな機能 : 尾路 祐介1,小川 啓恭2,玉置 広哉2,川上 学2,立川 豊吏2,岡 芳弘2,相馬 俊裕2,岸本 忠三3,杉山 治夫1(1阪大医病態生体情報学,2阪大分子病態内科,3阪大)
Oncogenic function of the Wilms' tumor gene (WT1) in solid tumors : Yusuke OJI1, Hiroyasu OGAWA2, Hiroya TAMAKI2, Manabu KAWAKAMI2, Toyoshi TATEKAWA2, Yoshihiro OKA2, Toshihiro SOMA2, Tadamitsu KISHIMOTO3,Haruo SUGIYAMA1(1Clin. Lab .Sci. Osaka Univ. Med. School, 2Dep.of Med. III Osaka Univ. Med. School, 3Osaka Univ. )
WT1遺伝子は従来癌抑制遺伝子として位置付けられてきたが、われわれはこれまでにWT1遺伝子が血液系細胞においてはむしろoncogenicな機能を持つことを示してきた。そこで、白血病以外の固形癌における癌発症にWT1遺伝子が関与している可能性を考えて、胃癌、大腸癌、肺癌、乳癌など固形癌のcell line 34種についてRT-PCR法を用いてWT1遺伝子の発現を定量した。その結果、34種中9種に高発現を10種に中程度の発現を7種に低発現を認めた。このうちWT1遺伝子の高発現を認めた3種のcell lineにつきPCR-SSCP法を用いてWT1遺伝子の変異を調べたが変異は検出できなかった。さらにこれら3種のcell lineにつき、WT1遺伝子に対するアンチセンスオリゴDNAの効果を検討したところすべてにおいて増殖が特異的に抑制されることが明らかとなった。以上の結果より野生型WT1遺伝子は種々の固形癌の癌化において、oncogenicな機能を持つことが示唆された。