ABSTRACT 1110(P4-5)
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家族性上皮性卵巣癌患者におけるエストロゲンレセプター遺伝子の解析
呉洪軍、相田浩、永田寛、加嶋克則、関根正幸、田中憲一(新潟大・産婦)

The analysis of the Estrogen Receptor gene for familial ovarian cancers : Hong Jun WU, Hiroshi AIDA, Hiroshi NAGATA, Katsunori KASHIMA, Masayuki SEKINE, Kenichi Tanaka (Dept. of Obstet. andd Gynecol., Niigata Univ. School of Medicine)

[目的] 家族性上皮性卵巣癌における、Estrogen Receptor (ERα) 遺伝子の関与についての検討。
[対象・方法] BRCA1遺伝子に異常を有する卵巣癌患者{BRCA1(+)}30人、異常が認められなかった卵巣癌患者{BRCA1(-)}27人、当科孤発例の卵巣癌患者21人と、対照として50人の健康女性について、同意のもと血液もしくは手術時標本よりDNAを抽出し、direct sequence法によりERαの遺伝子解析を行った。
[結果] 1)exon4のcodon325において、[CCC(Pro)→CCG(Pro)]の1塩基置換が認められた。この1塩基置換の頻度は、BRCA1(-)家族性卵巣癌群 33.3%、BRCA1(+)家族性卵巣癌群 48.3%、孤発例 47.6%、対照群 53.0%と、対照群に比し、BRCA1(-)家族性卵巣癌群で有意に頻度が低かった(x2=5.46、P<0.05)。2)BRCA1(+)家族性卵巣癌患者30例中2例においてそれぞれに、codon347 [ACC(Thr)→TCC(Ser)]、codon307 [GCC(Ala)→TCC(Ser)]の1塩基置換が認められた。3)exon5のcodon400において[GTG(Val)→GGG(Gly)]の1塩基置換が対照群を含め検索した全例に認められた。
[考察] codon325の多形性とBRCA1に異常を認めない家族性卵巣癌症例との関連性が示唆された。家族性上皮性卵巣癌患者2名にcodon347とcodon307の1塩基置換のmisssense mutationが認められた。codon 400の1塩基置換は日本人に多い多型性と考えられた。