ABSTRACT 1112(P4-5)
レトロウイルスベクターを用いた胃癌関連遺伝子の機能発現クローニング: 奥村俊一郎1,2,馬場広子2,中根恭司1,日置紘士郎1,池中一裕2(1 関西医大・2外,2 国立生理研・神経情報)
Functional cDNA Cloning of Gastric Cancer-related Gene using Retroviral Vector : Shunichiro OKUMURA1,2,Hiroko BABA2, Koshiro HIOKI1,Kazuhiro IKENAKA2 (1 2nd Dept. of Surg., Kansai Med.Univ., 2 Lab. of Neural Information, Natl.Inst. for Physiological Sciences )
Functional cloning においては細胞への高い遺伝子導入効率が必要であり、エレクトロポレーション、リポフェクション、等の方法が行われてきた。しかし、いずれの方法も遺伝子の発現は一過性であり、長期間の安定した発現は望めない。そこでわれわれは、レトロウイルスベクターを使うことにより安定した遺伝子発現をはかると共に、改良したウイルス産生細胞により遺伝子導入効率も向上させ、より効率的なスクリーニングを行った。【方法】胃癌新鮮切除標本よりRNAを抽出し、cDNAを合成したのちレトロウイルスベクターに組込み、胃癌cDNA ライブラリーを作成した。改良型ウイルス産生細胞より得られた組換えウイルスライブラリーを正常NIH3T3線維芽細胞にtransductionさせた。機能発現は接触阻害性の消失を指標とし、重層して増殖する細胞塊を採取した。採取された細胞よりゲノムDNAを抽出した後、組み込まれたcDNAをPCRにて増幅して解析を行った。【結果】作成されたcDNAライブラリーは1.8x10^6個の独立クローンを含んでおり、産生されたウイルスの力価は2.0〜3.0x10^5/mlであった。Transduction後1〜3週の経過中に出現した細胞塊より得た遺伝子を用いて二次スクリーニングを行い、未知のものを含む数個のクローンを得たので解析を行った。