ABSTRACT 1113(P4-5)
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液相ノーザン法(複数mRNA発現の同時定量法)の開発:中村直子、小田竜也1、野口雅之2、 深尾立1(筑波大・臨床・消外、2腫瘍病理)

Liquid phase Northern analysis: A method enabling quantify multiple mRNA expressions.: Naoko NAKAMURA1, Tatsuya ODA1, Masayuki NOGUCHI2 and Katashi FUKAO1 (Div. 1Pediatric Surgery, Inst. Clin. Med., Univ. Tsukuba, 2Clin. Pathol., Inst. Basic Med., Univ. Tsukuba )

 [目的] がんの浸潤、転移には複数分子の発現や遺伝子異常が関与している。これらの分子の共発現を数種類の長さを違えたプローブを同時にハイブリダイズさせることにより、一度に定量的に解析できる系の確立を目指した。
 [材料と方法] 本研究で開発する液相ノーザン法では total RNAをサイズ分画せずマグネットビーズ上にcDNA化し、一定長に揃えた複数の分子プローブとハイブリダイズさせた。今回モデル分子として用いたのは、 E-cadherin, a-, b-cateninと、ハウスキーピングジーンのElongation Factor(EF)であり、一定長のプローブはPCR法を使って作製した。検討対象はE-cadherin の発現が認められている大腸がん細胞株 SW1116 および発現の認められない肺がん細胞株 Lu65A であり、total RNAをビオチン化したランダムプライマーを使ってcDNA化し、M-280 ストレプトアビジン(DYNAL社)に吸着させsolid phase cDNAを合成した。それらを一本のエッペンドルフチューブ内で同時にハイブリダイズさせ、十分に洗浄した後、特異的に結合したプローブのみを抽出、ゲル電気泳動し、その放射活性をBAS2000(富士フィルム)で定量した。
 [結果と考察] 一回の電気泳動で E-cadherin, a-, b-catenin およびEFの共発現を確認できた。この方法の利点は一回のハイブリダイズ、電気泳動によって複数分子の共発現を確認できることであり、少量のRNAしか抽出できない臨床検体からでも通常のノーザンブロット法の基本原理を保持した定量性を期待することが出来る。