ABSTRACT 1114(P4-5)
食道癌における癌関連遺伝子の同定-Differential display 法を用いて-:白石 猛1,森 正樹1,田中真二1,渋田健二1,山懸基維1,原口 勝1,真船健一2,上尾裕昭3,杉町圭蔵4(1生医研外,2東大二外,3大分県立病院外,4九大医二外)
Identification of MAL gene in human esophageal carcinoma using differential display:Takeshi SHIRAISHI1, Masaki MORI1, Shinji TANAKA1, Kenji SHIBUTA1, Motoyoshi YAMAGATA1, Masaru HARAGUCHI1, Kenichi MAFUNE2, Hiroaki UEO3, Keizo SUGIMACHI4(1Dept. of Surg., Med.Inst. of Bioregulation, Kyushu Univ., 2Dep. of Surg. II,Tokyo Univ., 3Dept. of Surg.,Ouita Pref. Hosp., 4Dep. of Surg. II, Kyushu Univ.)
【目的】differential display 法(DD)法を用いて食道癌臨床検体より新しい癌関連遺伝子の同定を試みた。【方法】食道癌臨床検体の癌部及び非癌部よりRNAを抽出し、DD法にて腫瘍部と正常部で発現差を認めるcDNAを同定した。次に35症例のmRNAを半定量化し臨床病理学的因子との相関を評価した。【結果】(1)DD法にて非癌部に過剰に発現している遺伝子としてMAL(T-lymphcyte maturation−associated protein)を同定した。(2)MALの発現は食道癌臨床検体35症例中、34症例(97%)の腫瘍部位で減弱していた。(3)発現の抑制度と臨床病理学的因子の間には、脈管侵襲度と相関(p<0.05)を認めた。【考察】MALはTリンパ球分化後期に発現する膜タンパクである。MALと悪性腫瘍との関連については報告がないが、発現が高率に抑制されその抑制度が脈管侵襲に相関していることより、MALが食道癌の発生・進展に重要な役割を持つことが示唆された。