ABSTRACT 1119(P4-5)
ロイシンジッパー蛋白をコードしX染色体に位置する新規遺伝子NLXについての解析:半澤浩明、長崎光一、真鍋知宏、山口建(国立がんセ・研、細胞増殖因子)
Identification of a novel NLX gene encoding leucine zipper protein at chromosome Xq27 :Hiroaki HANZAWA, Koichi NAGASAKI, Tomohiro MANABE, Ken YAMAGUCHI (Growth Factor Div., Natl. Cancer Ctr. Res. Inst.)
【目的】正常組織および一部の癌細胞で発現を認める遺伝子断片を単離した。今回、その遺伝子を同定し各種癌細胞での発現および染色体座位について検討した。
【方法】多数の癌培養細胞を対象としたRNA Differential Display(DD)法により、乳癌培養細胞MCF-7で特異的に発現しているcDNA断片を単離した。遺伝子構造解析の為、cDNAクローニングを行い塩基配列を決定した。各種癌細胞での発現はNorthern blot法により検討した。さらにFISH法を用い染色体座位の解析を行った。
【結果】DD法により単離したcDNA断片をプローブに用いたNorthern blot法で、対象とした8種類の癌培養細胞のうちMCF-7で高発現しているRNAが確認された。cDNAクローニングにより決定した塩基配列から、この遺伝子のコードしている蛋白は147個のアミノ酸からなり、N端側部分にロイシンジッパー構造を有する新規蛋白と予想された。各種癌培養細胞でのこの遺伝子の発現は、乳癌7株中5株に認められたが、膵癌および胃癌では各々9株中1株、6株中0株であった。また、正常組織では検討したすべてで発現が認められた。FISH法によりこの遺伝子の染色体座位はXq27であることが明らかとなった。
【結論】X染色体に位置し、ロイシンジッパー蛋白をコードする新規遺伝子NLX (Novel gene encoding Leucine zipper protein at chromosome Xq27) は、正常組織および一部の乳癌培養細胞で発現しているが、膵癌、胃癌培養細胞で抑制されていることが明らかとなった。