ABSTRACT 1129(P4-5)
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大腸腫瘍におけるHMGI(Y)発現に関する検討:阿部展次1), 渡辺卓2),杉山政則1), 跡見裕1) 1)杏林大 医 第一外、2)杏林大 医 臨床病理 )

Analysis of HMGI(Y) expression in colorectal tumor: Nobutsugu ABE1), Takashi WATANABE2), Masanori SUGIYAMA1), Yutaka ATOMI1) ( 1)Dept. of Surgery I, 2)Dept. of Clinical Pathology, Kyorin University )

[目的] 大腸腫瘍におけるHigh Mobility Group I(Y) [HMGI(Y)]発現の変化とその意義を検討する。[対象と方法] 結腸直腸癌28例、腺腫16例、正常大腸粘膜23例を対象とし、免疫染色およびRNA in situ hybridizationによりHMGI(Y)の発現を検討した。癌症例については、免疫染色によりスコア化したHMGI(Y)蛋白発現レベルと臨床病理学的因子との比較検討を行った。
[結果] HMGI(Y)蛋白陽性細胞の平均比率(%)は、癌;62.5 (SD=23.1), 腺腫;10.9 (SD=15.2) , 正常粘膜;4.7 (SD=2.9)であった。HMGI(Y) mRNAの発現レベルは細胞の異型度が高いものほど増加していた。HMGI(Y)蛋白発現レベルと臨床病理学的因子との比較検討では、HMGI(Y)蛋白発現レベルと癌の進行度は正の相関を示していた。
[考察、結語] 高度異型腺腫および癌において有意にHMGI(Y)発現レベルの増加を認めたことより、HMGI(Y)発現は大腸発癌機構を考える上で重要な知見を与えるものと考えられた。HMGI(Y)発現レベルの増加が癌の進行度と相関していたことより、その発現レベルは新たな予後予測因子になりえる可能性が考えられた。