ABSTRACT 1131(P4-6)
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ヒト型イントロンレス遺伝子産物MycL2のもつ細胞死増強ドメイン(DEAD)に会合する因子の検索:北中千史、野口耕司、望月俊宏、口野嘉幸(国立がんセンター研・生物物理)

Identification of the cellular factors that bind the death enhancer/augmentation domain (DEAD) of human intronless gene product MycL2: Chifumi KITANAKA, Kohji NOGUCHI, Toshihiro MOCHIZUKI, Yoshiyuki KUCHINO (Biophys. Div., Natl. Cancer Center Res.Inst.)

我々はこれまでにヒトのイントロンレスmyc遺伝子産物MycL2がラットs-Mycと同様に強いアポト−シス誘導能をもち、c-Mycと異って野性型p53非依存的にアポト−シスを誘導できることを見い出してきた。また、MycL2の種々の欠失変異体を用いた実験から、MycL2蛋白質のほぼ中央部に位置しinternal acidic domainを含む約60のアミノ酸からなる領域がMycL2による強力なアポト−シス誘導に要求されることを明らかにしてきた。すなわち、この領域を欠失させるとMycL2による細胞死誘導能が減弱し、c-Mycと同程度の細胞死誘導能しか見られなくなり、逆に、この領域のみをc-Mycとともに共発現させるとc-Mycによる細胞死誘導能が増強されることがわかった。これらの実験結果はMycL2のこの領域に細胞死を増強するようなシグナルが存在することを示している。そこで我々はこの領域をDEAD(Death Enhancer/Augmentation Domain)と名付けた。興味深いことに、MycL2のDEADにはBH3と呼ばれ Bcl-2 ファミリー蛋白質によるアポトーシス促進に重要な役割を果たすドメインと高い相同性を示すアミノ酸配列が存在することがわかった。このBH3ドメインはこれまでアポトーシス抑制性Bcl-2ファミリー蛋白質との相互作用に関与していることが知られていたが、実際にMycL2がアポトーシス抑制能をもつ既知のBcl-2ファミリー蛋白質とin vitroで会合することが確認された。現在MycL2DEADによる細胞死増強の分子機構を解明する目的でこの領域に会合する因子をyeast two-hybrid法を用いて検索しており、すでにいくつかの陽性cDNAクローンを得ている。現在これらのcDNAクローンがコードする蛋白質の同定とその細胞死制御への関与のありかたを検討している。