ABSTRACT 1134(P4-6)
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ラット肝癌McA-RH8994細胞におけるBcl-xL過剰発現によるアポトーシスおよびネクロシースに対する抵抗性の獲得:福田一典(岐阜大医・東洋医学講座)

Aquisition of resistance to apoptosis and necrosis by Bcl-xL overexpression in rat hepatoma McA-RH8994 cells : Kazunori FUKUDA (Dept. of Oriental Med., Gifu Univ. School of Med.)

(目的)ラット肝細胞癌におけるアポトーシスおよびネクローシスに対する、Bcl-xLの直接的作用を検討する。(方法) ラット Bcl-xL の蛋白コード領域全長を含むcDNAをRT-PCR法によりクローニングし、このcDNAをCMV promoterの下流にsenseあるいはantisenseの方法に組み込んだ発現プラスミドを作成した。ラット肝細胞癌McA-RH8994細胞にこの2種の発現プラスミドをトランスフェクトしstable transfectantを選別し、Bcl-xL cDNAをsense方向に発現する細胞(RH8994/Bcl-xL-S)及びantisense方向に発現する細胞(RH8994/Bcl-xL-AS)を各々3株づつクローニングした。各細胞株について、TGF-b1及びTNF-aで誘導されるアポトーシス、calcium ionophore A23187、N-methyl-N'-nitro-N-nitrosoguanidine (MNNG)、紫外線照射により誘導される細胞死(アポトーシスおよびネクローシス)に対する感受性について検討した。cytotoxicityは培養上清中のLDHの定量により行ない、細胞生存率はMTT法により行なった。(結果)RH8994/Bcl-xL-AS細胞株と比べて、RH8994/Bcl-xL-S細胞株はいずれもBcl-xL発現量が10倍以上を示し、上記の種々の刺激あるいは細胞障害により引き起こされる細胞死に対して有意な抵抗性を示した。50%細胞死を誘導する用量(LD50)で比較した場合、RH8994/Bcl-xL-S細胞株はいずれの刺激あるいは細胞障害に対しても、RH8994/Bcl-xL-ASの約10倍以上のLD50値を示した。以上により、Bcl-xLの過剰発現は肝癌細胞において、アポトーシスおよびネクローシスの両方に対して抵抗性を引き起こすことが示された。