ABSTRACT 1141(P4-6)
アポトーシスの過程におけるp42タンパク質の修飾機構:森田明典, 鈴木紀夫, 榎本敦, 松本義久, 平野和也, 酒井一夫(東大・医・基放)
Modification of p42 protein during apoptosis: Akinori MORITA, Norio SUZUKI, Atsushi ENOMOTO, Yoshihisa MATSUMOTO, Kazuya HIRANO, and Kazuo SAKAI (Dept. of Radiat. Oncol., Fac. of Med., Univ. of Tokyo )
【目的】我々は放射線高感受性を示すヒトT-細胞性白血病細胞株MOLT-4に、放射線照射4時間後から2次元電気泳動ゲルに検出されるようになる分子量41kDaのタンパク質p41に注目し、p41の前駆体と考えられるp42からp41への修飾反応の解明を進めるため、p42、p41のN末端シーケンス、およびプロテアーゼ阻害剤やアポトーシス抑制因子bcl-2導入によるp41出現の阻害実験を行った。
【方法】p42、p41のN末端シーケンスは、X線10Gy照射MOLT-4細胞から得た部分精製サンプルを2次元電気泳動で分離、PVDF膜にエレクトロブロットし、切り出したCBB染色スポットをプロテインシーケンサ(Model 492、PE ABI) にかけて行った。また、X線10Gy照射直後に、カスパーゼ阻害剤で処理したMOLT-4細胞、およびX線10Gy照射MOLT-4-マウスbcl-2トランスフェクタント(MOLT/m-bcl2)を用い、2次元電気泳動後のウェスタンブロットにてp41出現の阻害効果を検討した。
【結果と考察】p42、p41のN末端シーケンスにより、p42はガン化や転写との関連が示唆されているSET β(TAF-I β)であること、p41はp42のN末端から17番目のAsp残基のC末端側切断産物であることが明らかとなった。p42切断プロテアーゼは、アポトーシスに伴って活性化するAsp-C切断性のプロテアーゼの可能性が考えられ、カスパーゼ阻害剤Ac-DEVD-CHOやAc-VEID-CHOを照射後に添加、あるいはマウスbcl-2遺伝子導入によってp42切断が抑えられることからカスパーゼの一種と結論された。