ABSTRACT 1143(P4-6)
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腫瘍原性はアポトーシスの抑制によって獲得される:岡清正、湯通堂満寿男(阪大・微研・腫瘍ウイルス)

Tumorigenic conversion resulted from inhibition of apoptosis : Kiyomasa OKA, Masuo YUTSUDO (Dept.of Tumor Virol.,Res.Inst.for Microb.Dis.,Osaka Univ.)

【目的】腫瘍原性細胞HeLaを正常細胞と融合させると、その融合細胞は、腫瘍原性を失い、無血清培地中で増殖できなくなる。この細胞を継代していく内に、腫瘍原性と無血清培地中での増殖能を再び獲得した細胞が得られている。この系を用いて、腫瘍原性とは何か、細胞内でどのような分子メカニズムが働いているのかを解析した。
【方法・結果】無血清培地中では、非腫瘍原性融合細胞はアポトーシスを起こして、DNAがラダー状に分解され、caspase-3が活性化していた。そこで、アポトーシス抑制遺伝子であるbcl-2遺伝子等を非腫瘍原性融合細胞に導入したところ、得られたクローンは、無血清培地中でアポトーシスを起こさずに増殖することができ、ヌードマウスに接種すると腫瘍を形成した。以上のことより、腫瘍原性細胞は、増殖因子がない環境でもアポトーシスを回避するような機構を備えており、それによって腫瘍原性を獲得したことが明らかとなった。