ABSTRACT 1145(P4-6)
癌増殖に対する免疫学的影響とアポトーシス: 横山逸男1,早川あけみ2,林衆治1,高木弘1,田尻久雄3(1名大・医・2外,2名大・医・機器セ,3国立がんセ・東病・内)
Immunosuppression and tumor growth: Itsuo YOKOYAMA1, Akemi HAYAKAWA2, Shuji HAYASHI1, Hiroshi TAKAGI1, Hisao TAJIRI3 (1Dept. of Surgery II, Nagoya Univ. Sch. of Med., 2Dept. Equip. Center, 3Natl. Center Hosp. East)
[目的]担癌宿主の免疫機能と腫瘍増殖は密接な関係があるが、その生物学的なメカニズムについては解明されていない。そこでC57BLマウスのマウス大腸癌(Colon38)が、組織学的に顕著なアポトーシスを形成するという特徴に注目し、各種免疫抑制剤による細胞増殖に対する影響を、特に癌細胞のアポトーシスという観点から調べた。[方法及び結果]FACSによりcolon38のFas抗原を定量したところ、免疫抑制剤であるサイクロスポリン(CsA)およびタクロリムス(FK)の至適濃度(0.1μg/ml)で低下した。またIn Vivoモデルで癌病変部のp53の発原を免疫組織学的に調べたところ、p53はアポトーシスを示す癌細胞あるいはその近傍の細胞に強く発現し、免疫抑制剤投与群ではp53の発現が抑制されていた。[考察]Colon38のin vivo モデルでは免疫学的なメカニズムによる増殖に与える影響というより、免疫抑制剤の癌細胞のFas発現にあたえる影響と、それに伴う癌細胞のポトーシスの細胞増殖に与える影響が主たる要因であると推察された。