ABSTRACT 1148(P4-6)
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マウス腎癌細胞へのFasL遺伝子導入による腫瘍増殖効果の検討:西松寛明、武内 巧、植木哲雄、森山信男、北村唯一(東大・医・泌)

Fas ligand expression enhanced growth of murine renal cell carcinoma in vivo: Hiroaki NISHIMATSU, Takumi TAKEUCHI, Tetsuo UEKI, Nobuo MORIYAMA, Tadaichi KITAMURA (Dept. of Urol., Fac. of Med., The Univ. of Tokyo)

【目的】Fas/FasL systemはリンパ球のapoptosisを誘導しうる。このため腫瘍細胞にFasLが発現された場合、Fas陽性の腫瘍反応性T細胞を腫瘍局所で排除し、増殖する可能性が示唆される。我々はマウス腎癌細胞にFasL遺伝子を導入し、マウスに接種することによって、in vivoにおけるFasLの腫瘍免疫における役割を検討した。【方法】マウス腎癌細胞(Renca)にmurine Fas ligand cDNAを、chickenβactin promoterを持つ発現ベクターpCAGGSに組み込み、LipofectoamineTMによりstableにtransfectionした。FasLの発現は抗FasL抗体による免疫染色とRT-PCRにより確認した。この導入細胞および対照細胞(pCAGGSのみ導入)を同系のBalb/cマウスの腎皮膜下に接種し、2週後に形成された腫瘍の体積を比較した。またTUNEL法を用いて、形成された腫瘍に浸潤するリンパ球のapoptosisを観察した。【結果】腫瘍体積はFasL導入細胞で有意に増大していた(p<0.01:Mann-WhitneyのU検定)。またFasL導入細胞により形成された腫瘍の周囲のリンパ球にapoptosisが観察された。【考察】導入細胞では、浸潤するリンパ球にapoptosisを誘導し、細胞性免疫を抑制する事によって腫瘍の増殖を増強している可能性が示唆された。