ABSTRACT 1150(P4-6)
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非小細胞性肺癌における Fas ligandの発現とその意義: 上田善道1,南部静洋2,地崎赴美子1,高橋敬治2,大谷信夫21金沢医大・病理,2金沢医大・呼内)

Expression of Fas ligand in human non-small cell lung carcinomas: possible immune escape?: Yoshimichi UEDA1, Yoshihiro NAMBU2, Fumiko JJISAKI1, Keiji TAKAHASHI2, Nobuo OHYA2(1Dept. of Pathol., Kanazawa Medical Univ., 2Dept. Resp. Med., Kanazawa Medical Univ.)

〔目的〕最近ヒト肺癌を含めた幾つかの腫瘍あるいは樹立腫瘍細胞で腫瘍細胞が Fas ligand (Fas L)を産生し、cytotoxic lymphocyte (CTL)のアポトーシス誘導により免疫監視機構から回避している可能性が報告されている.樹立腫瘍細胞に発現する Fas Lの機能をJurkat cellを用いて in vitroで示した報告はあるが、腫瘍細胞に発現される Fas Lの in vivoでの役割は未だ明かではない.今回、非小細胞性肺癌細胞が発現する Fas Lが腫瘍浸潤性 CTLのアポトーシス誘導、 immune evasionに関与しているか、また病態に影響を及ぼすか否かを in vivoで解析した.
〔材料・方法〕外科切除非小細胞性肺癌 38例(腺癌20例、扁平上皮癌18例)およびヒト樹立肺癌細胞 3株を用いた.肺癌細胞におけるFas Lのメッセージレベルの発現を RT-PCR, in situ hybridization法で、蛋白レベルの発現を Western blot、免疫染色で、更に腫瘍内浸潤 CD8 陽性 CTLのアポトーシスをTUNEL法で解析した.
〔結果〕ヒト樹立肺癌細胞 3株および肺癌 34/38例 (89%)に Fas Lの発現が見られた.膜結合型 Fas Lの発現が総ての症例で優勢で、可溶型 Fas Lの発現は軽度であった.腫瘍胞巣内浸潤 CTLにおける TUNEL標識数および標識率は、腫瘍胞巣外間質における CTLのそれらと較べ有意に高かったが(p<0.01)、腫瘍胞巣浸潤 CTLのアポトーシス数あるいは Fas Lの発現程度いずれも臨床病理学的因子との関連は認めなかった.
〔結論〕ヒト小細胞性肺癌においてFas Lを介した immune privilegeは起こっているが、病態には重大な影響を及ぼしていない.