ABSTRACT 1153(P4-6)
 ポスターセッション一覧 トップ 


早期大腸癌を用いた大腸腫瘍の発育と進展の検討:岩瀬 豪,小西英幸1,服部隆則21京都府立医大・3内,2滋賀医大・第1病理)

Development and progression in colorectal tumor : Tsuyoshi Iwase, Hideyuki Konishi1, Takanori Hattori2 ( 13rd Dept. of Internal Med., Kyoto Pref. Univ. of Med. ; 2Dept. of Path., Shiga Univ. of Med. Sci. )

【目的】大腸腫瘍の発育・進展を明らかにするため,早期大腸癌を用いてp53蛋白過剰発現,細胞増殖と細胞死ならびに核DNA量を検討した.【対象】早期大腸癌19例(m癌:8例,sm癌:11例)で腺腫成分を含む群;腺腫(+)と含まない群;腺腫(-)に分類し検討した.p53蛋白の発現はDO7を用いて60%以上の細胞がびまん性に染色されるものを陽性とした.細胞増殖能と細胞死はKi-67免疫染色(MIB1)とH.E.及びTUNEL染色を用いて調べた.正常部,腺腫部と癌部の各々について陽性細胞の分布様式,proliferation index(PI),apoptotic index(AI)及びAI/PIを検索した.さらに厚切りパラフィン切片より細胞を単離し顕微蛍光測光法にて各部分の核DNA量を測定した.【結果】腺腫(+)群では全例癌部の正常部から腺腫部,癌部と段階的に増加したが,AI/PI増加は,癌部において腺腫よりも低く,細胞増殖と細胞死のアンバランスが示唆された.

Group A(%)PIAIAI/PI Group B(%)PIAIAI/PI
normal
adenoma
carcinoma
14.3
28.8
41.8
0.83
3.99
3.30
5.80
13.8
7.90
normal
carcinoma

12.6
41.3

0.63
3.71

4.97
8.97


癌部では腺腫の有無に関わらずaneuploidyを示す症例が多かった.【結語】癌の発生を考える上で,腺腫の有無によって分類するだででなく,p53蛋白の過剰発現や,細胞増殖能と細胞死,また核DNA量を検討することが必要と考えられた.さらにLOH及び,RERの検討を加え報告する.