ABSTRACT 1215(P4-10)
ヒトパピローマウイルス16型 E6, E7, E6/E7遺伝子移入によるヒト二倍体線維芽細胞の寿命の延長と不死化:山本明人1、熊倉伸一2、内田稔1、筒井健機2(日本歯大・歯・1口外II、2薬理)
Extended lifespan and immortalization of normal human diploid fibroblasts by introduction of human papillomavirus type 16 E6, E7 and E6/E7 genes : Akito YAMAMOTO1, Shin-ichi KUMAKURA2, Minoru UCHIDA1, Takeki TSUTSUI2(Depts. of 1Oral and Maxillofacial Surg. II and 2Pharmacol., Nippon Dental Univ., Tokyo)
p53やRb遺伝子機能の不活化とヒト二倍体線維芽細胞の分裂寿命の延長と不死化との関係を調べた。ヒトパピローマウイルス16型(HPV-16)E6, E7またはE6/E7遺伝子をレトロウイルスベクターを用いて移入したヒト二倍体線維芽細胞から得られたcloneを継代培養したところ、E6移入群では、16 clone中1 cloneに不死化が認められた。E7移入群ではクローニング後増殖してきた4 cloneすべてが不死化した。また、E6/E7移入群では10 clone中2 cloneに寿命の延長が、3 cloneに不死化が認められた。寿命の延長したcloneや不死化したcloneでは移入した遺伝子の存在がPCR法で確認された。これらの不死化したcloneのp53とRb遺伝子機能を調べたところ、E6移入群ではX線照射後のG0/G1停止機能の喪失が認められた。E7移入群ではG0/G1停止機能の喪失とpRbの高リン酸化が認められた。E6/E7移入群においてもE7移入群と同様の機能喪失が認められた。これらのことはヒト線維芽細胞の不死化は、HPV-16 E6またはE7遺伝子の単独移入で誘導されることを示唆している。