ABSTRACT 1217(P4-10)
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テロメア長を短縮したヒト胃癌細胞株における細胞生存機構の解析:仲 一仁1, 横崎 宏1, 田原栄俊2, 田原榮一11広島大・医・1病理 ・2広島大・医・総合薬)

A study of cellular survival on telomere-reduced human gastric cancer cell lines: Kazuhito NAKA1, Hiroshi YOKOZAKI1, Hidetoshi, TAHARA2, Eiichi TAHARA1 (1First Dept. Pathol, Hiroshima Univ. Sch. Med. , 2Dept. Cell. Mol. Biol., Hiroshima Univ. Sch. Med. )

【目的】アンチセンスヒトテロメラーゼRNA (ahTR) 発現ベクターをヒト癌細胞に導入することにより、テロメア長が短縮し、細胞死(crisis)に陥ることが報告された。昨年度本総会において、ヒト胃癌細胞株にahTRを導入した結果、テロメア長の短縮とcrisis又は細胞老化が誘導されることを報告した。今回、短縮したテロメア長を維持しながら増殖し続けたMKN-28 ahTR導入株における細胞生存機構について検討した。【材料と方法】ヒト胃癌細胞株 MKN-28に ahTR発現ベクター: pUHD10-3 ahTR (Dr. C. B. Harley, Geron Corp.) をlipofection法により導入した。テロメア長をTRF assay 、細胞周期をFACScan、mRNAの発現をNorthern blot法により解析した。【結果】MKN-28 ahTR導入株では、1)細胞の扁平化、多核化など形態変化を示す細胞の出現、2)G0-G1期の細胞数の増加、3)細胞老化関連分子であるIFN誘導分子6-16、p21/Waf1/Cip1/Sdi1 並びにIRF-1 mRNAの発現誘導が認められた。4)Bax mRNAの発現低下が認められた。これら分子の発現変化がテロメア長短縮細胞における細胞生存に寄与しているものと考えられる。