ABSTRACT 1218(P4-10)
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テロメラーゼ遺伝子hTERT導入によるヒト線維芽細胞の分裂寿命:松尾創1,田原栄俊1,津山尚宏1,中山潤一2,石川冬木2,井出利憲11広島大・医・総合薬,2東京工大・生命理工)

Mortality of human fibroblasts transfected with telomerase catalytic subunit,hTERT: Hajime MATSUO1,Hidetoshi TAHARA1, Naohiro TSUYAMA1, Jun-Ichi NAKAYAMA2, Fuyuki ISHIKAWA2, Toshinori IDE1 (1Dept. Cell. Mol. Biol., Hiroshima Univ. Sch. Med., 2Dept. of Life Sci., Tokyo Inst. of Tech.)

[目的]テロメラーゼ活性の発現は細胞の不死化に大きく関与していると考えられている。我々はテロメラーゼ触媒サブユニットhTERTをヒト線維芽細胞に導入し、テロメラーゼ活性と分裂寿命の延長、不死化との関わりを明らかにすることを目的とした。[方法]ヒト正常線維芽細胞TIG-3、およびそのSV40largeTトランスフォーム細胞SVts9-3にリン酸カルシウム共沈法によるhTERTの導入を行った。得られたクローンについてTRAP法によるテロメラーゼ活性、分裂寿命、サザン解析によるテロメア長を比較検討した。
[結果]テロメラーゼ陽性となったクローンは対照および陰性クローンに比べ、TIG-3では10回程度、SVts9-3では20〜60回の分裂回数の延長を示した。しかし大部分は増殖停止に至った。これらのクローンでは分裂寿命の終わりまでテロメラーゼ活性はみられたが、テロメア長の顕著な増減はみられなかった。
[考察]hTERT導入によるテロメラーゼ活性の発現は、分裂寿命を延長させる効果があると考えられた。しかし、これが直接不死化につながるわけではなく、テロメラーゼ活性の不死化に対する効果は培養細胞により異なることが考えられた。