ABSTRACT 1219(P4-10)
ヒトパピローマウィルス16型E6, E7, E6/E7遺伝子を移入したヒト線維芽細胞の不死化過程におけるテロメア長とテロメラーゼ活性:熊倉伸一1、山本明人2、内田稔2、筒井健機1(日本歯大・歯・1薬理、2口外II)
Telomere length and telomerase activity of human fibroblastsin the process of immortalization induced by transfection with E6, E7 and E6/E7 genes of human papillomavirus type 16 : Shin-ichi KUMAKURA1, Akito YAMAMOTO2, Minoru UCHIDA2, Takeki TSUTSUI1 (Depts. of 1Pharmacol. and 2Oral and Maxillofacial Surg.II, Nippon Dental Univ., Tokyo)
ヒト細胞の不死化過程とテロメラーゼの再活性化の関係を調べる目的で、ヒト線維芽細胞にヒトパピローマウィルス16型E6,E7,E6/E7遺伝子をレトロウィルスベクターで移入し、得られたcloneについて経日的にテロメア長とテロメラーゼ活性を調べた。不死化を認めたE6移入群の1 cloneでは、83 population doublings(PD)でテロメラーゼ活性が検出されたが、E7移入群の4 cloneは、すべて不死化したが、テロメラーゼ活性はいずれも陰性であった。E6/E7移入群の3 cloneのうち2 cloneは、85と95PDで活性が認められたが、1 cloneでは223PD以上でも陰性であった。一方テロメア長は、E6/E7移入群のテロメラーゼ陽性の1 cloneでは、95PDまでは減少したが、以後一定に保たれていた。E6,E7単独移入群については現在解析中である。これらのことは、ヒト線維芽細胞の不死化過程におけるテロメラーゼの活性化機構は、E6, E7移入群で異なることを示唆している。