ABSTRACT 1221(P4-10)
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ヒト5番染色体上に存在するテロメレース抑制遺伝子のマッピング:久郷裕之,重並克代, 押村光雄(鳥取大学・生命・細胞工学, CREST・JST)

Mapping of a putative telomerase repressor gene on human chromosome 5 : Hiroyuki KUGOH, Katsuyo SHIGENAMI, Mitsuo OSHIMURA (Dept. of Mol. & Cell Genet., Fac. of Med., Shc. of Life Sci., Tottori Univ., and CREST・JST)

[目的]我々は、マウスメラノーマ細胞株B16-F10細胞へ染色体導入を行い、ヒト5番染色体導入クローン特異的に著しいテロメレース活性の抑制効果が認められたことにより、5番染色体上にテロメレース活性制御遺伝子が存在することを明らかにした。本研究においては、1)テロメレース活性を再獲得したリバータント細胞の5番染色体欠失領域の解析に基づき、テロメレース活性制御遺伝子の存在領域の同定を行った。2)テロメレース活性抑制効果とテロメレース構成成分であるmTRTとの関連を明らかにするため、発現レベルの比較検討を行った。[結果]1)単離した5つのリバータントクローンにおいて、36個の5番染色体特異的STSマーカーを用いて共通欠失領域を検索した結果、5p15.3-5pter, 5p11-5p14.1 および5q11.2-5q21 の3つの領域に高頻の欠失が認められた。2)mTRTの発現レベルにおいては、テロメレース活性の強さに相関して著しい抑制効果が認められた。[考察]1)テロメレース活性制御遺伝子の存在領域を5番染色体上の3箇所に絞り込んだ。しかし、最終的な候補遺伝子を単離するためには、さらに詳細な遺伝子マッピングが必要である。現在、これらの3つの領域を各々保持する断片化染色体を用いて詳細な解析を進めている。2)これまでマウスにおけるテロメレースの動態は、その活性とmTR (RNA tape) が細胞増殖と密接に関与していることが明らかにされているが、触媒サブユニットmTRTとの関連性は報告されていない。今回の結果から、マウスにおいてもヒトと同様にTRTの発現調節がテロメレース活性に強く関与していることが示唆された。[結論]1)少なくとも上記に示した3つの領域中にテロメレース活性制御遺伝子の存在が示唆された。2)ヒト5番染色体上に存在するテロメレース活性制御遺伝子は、テロメレース構成成分であるmTRTの発現調節機構に関与していることが示唆された。