ABSTRACT 1222(P4-10)
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TRAP/HPA法によるテロメラーゼ活性のPCR阻害物質に影響されない定量的測定:中村泰浩1、田原栄俊1、田原栄治1、安井弥2、田原榮一2、井出利憲1 (広島大・医・1総合薬、21病理)

Quantitative measurement of telomerase activity by TRAP/HPA method avoiding effect of PCR inhibitors: Yasuhiro NAKAMURA1, Hidetoshi TAHARA1, Eiji TAHARA1, Wataru YASUI2, Eiich TAHARA2 and Toshinori IDE1 (1Dept. Cell. Mol. Biol., 2First Dept. Path., Hiroshima Univ. Sch. Med.)

【目的】テロメラーゼ活性は多くの癌組織に存在し、癌診断に利用できる新しいマーカーになるものと期待されている。しかし、幹細胞などの正常組織でも弱いながらテロメラーゼ活性が存在するため、活性の定量化が必要と考えられている。また、組織にはPCR阻害物質も含まれるため、正確な活性の強度を測定することが困難であった。そこで我々はこれらの影響を無視でき、かつ定量性のある測定法の検討を行った。 【方法】テロメラーゼ活性はPCR回転数を27にしたTRAP法とその産物を利用したHPA法を用いて測定し、活性の強度をMKN-1の細胞数に換算して定量化した。 【結果】蛋白量1μg以下では、HPA法は阻害物質の影響を無視できることがわかり、広い範囲で定量性のあることが示された。この方法により、胃癌の手術材料や腸上皮化生の生検材料のテロメラーゼ活性を測定した。非癌部や腸上皮化生よりも明らかに癌部に強い活性が認められた。スキルス癌には非常に強い活性をもつものが少なかった。【考察】測定法が簡便かつ高感度で定量性のあるTRAP/HPAにより、癌診断のマーカーとして利用できるものと思われる。さらにテロメラーゼ活性と悪性度や進行度などの他の因子との相関についても調べることが可能となった。