ABSTRACT 1225(P4-10)
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シスプラチンのテロメア長、テロメラーゼ活性に及ぼす影響 - シスプラチン耐性獲得との関連について:石井賢治,工藤一弥,平田純子,山本謙二, 真野佳典,高野政志,喜多恒和,戸出健彦,菊池義公,永田一郎(防衛医大・産婦)

Effects on telomere length and telomerase activity by cisplatin - Relevance to acquisition of cisplatin resistance:Kenji ISHII, Kazuya KUDOH, Junko HIRATA, Kenji YAMAMOTO, Yoshinori MANO, Masashi TAKANO, Tsunekazu KITA, Takehiko TODE, Yoshihiro KIKUCHI, Ichiro NAGATA(Dept. of Obstet. Gynecol., Natl. Defense Med. Coll.)

ヒト卵巣癌培養細胞を用いて、シスプラチンのテロメア長、テロメラーゼ活性に及ぼす影響を検討した。用いた細胞はすべてテロメラーゼ活性を有したが、テロメア長は細胞の種類により大きく異なり、シスプラチンの長期接触により誘導したシスプラチン獲得耐性株は親株と比較してもテロメア長は異なっていた。また、低濃度のシスプラチン接触によりテロメラーゼ活性は増強された。数種の細胞では0.2μMのシスプラチンを3週間接触させることにより、テロメラーゼ活性が増強するにもかかわらず、テロメア長の短縮を認め、ring chromosomeやdicentric chromosomeといった異常染色体が確認された。一方、もともとテロメア長の短い2種類の細胞では同様のシスプラチン処理でもテロメア長の短縮は観察されなかったが、southern blot analysisにより、テロメアとは異なるinternal lesionに由来すると思われるバンドパターンに変化がみられた。このうち1種類の細胞ではシスプラチン感受性が有意に低下していた。これらの結果より、ヒト癌細胞においても酵母で報告されているようなchromosome recombinationによりテロメア長が維持される場合があると推察され、この過程を経てシスプラチン耐性を獲得する可能性が示唆された。