ABSTRACT 1226(P4-10)
がん細胞のテロメレース活性と抗癌剤感受性との相関―BIO COMPARE プログラムを用いた検討:大原智子1、清宮啓之1、矢守隆夫1、山崎佳波1、鶴尾隆1、2(1癌研・癌化療セ、2東大・分生研)
Correlation between Telomerase Activity and Anticancer Drugs―Estimation with the BIO COMPARE Algorithm : Tomoko OH-HARA1, Hiroyuki SEIMIYA1, Takao YAMORI1, Kanami YAMAZAKI1, Takashi TSURUO1、2(1Cancer Chemother. Ctr., Jpn. Fdn. Cancer Res., 2Inst. Mol. Cell. Biosci., Univ. Tokyo)
ヒトのがんの多くにはテロメレース活性がみられるが、その程度は癌組織や悪性度により異なっている。我々はがん細胞のテロメレース活性を測定することにより、その細胞に有効な抗癌剤を予測することが可能であるかを検討する目的で、ヒト培養がん細胞パネルによる抗癌剤スクリーニングに用いられている38系の細胞株についてテロメレース活性をTRAP法により測定した。細胞間のテロメレース活性の強弱のパターンを、約150種の抗癌剤に対する各がん細胞の感受性データベースを用いて検討(BIO COMPARE プログラム)し、テロメレース活性の強弱と相関する感受性を示す抗癌剤を検索した。その結果、テロメレース活性が高いほど高感受性(低GI50値)を示す傾向のある薬剤としてMTX(r=-0.458、p<0.05)と5-FU(r=-0.385、p<0.05)があることが判った。しかし、MTX および 5-FU はin vitroにおいてテロメレース活性に影響を及ぼさなかったことから、上記相関はこれらの薬剤とテロメレースの直接作用によるものではないことが示唆された。