ABSTRACT 1228(P4-10)
 ポスターセッション一覧 トップ 


白血病細胞HL-60のビタミンD3分化誘導時におけるセラミドのテロメア-ゼへの効果:山本浩貴1 岡崎俊朗2 鈴木祥子3 梅原久範4 覚道健治1 堂前尚親41大歯大・口外、2京大・医・一内、3大歯大・小歯、4大歯大・内)

Effects of Ceramide on Telomerase in HL-60 Cell Differentiatiion induced by Vitamin D3:Hirotaka YAMAMOTO1,Toshiro OKAZAKI2,Yoshiko SUZUKI3,Hisanori UMEHARA4,Kenji KAKUDO1and Naochika DOMAE4.(1Dept.of Oral Maxillofacial surgery,3Dept.of Pediatric Dent.and 4Dept.of Medicine.,Osaka Dent.Univ.,2Dept.of Hematology/Oncology, Kyoto Univ.)

[目的]HL-60細胞はビタミンD3により単球系細胞へ分化誘導され,分化最終形態としてアポト-シスが誘導される。われわれは、この際スフィンゴミエリナーゼが活性化されスフィンゴミエリンが減少し、セラミド情報伝達経路が活性化されることを報告した。一方、DNAの末端であるテロメアは近年、細胞時計としての機能を有し細胞の老化や不死化に関係することが示された。その構造はAATGGGの繰り返し構造で、正常細胞では体細胞分裂の際、テロメアの修復酵素であるテロメア-ゼ活性が減少しDNAの末端のテロメア部分の合成が成されずDNAが短く成ってゆくことが観察される。ヒト白血病細胞HL-60は不死化した細胞でテロメア-ゼ活性の存在が知られているが、セラミドを添加し培養すると分化とアポト-シスが観察される。そこで今回、ビタミンD3による分化・アポトーシス誘導時におけるセラミドのテロメア-ゼへの影響を検討した。[結果と考察]1)セラミドはHL-60細胞のテロメア-ゼ活性を時間依存性および濃度依存性に抑制した。2)ビタミンD3はテロメア-ゼ活性を抑制し、その抑制効果はセラミドとの同時添加で相乗的に増加した。3)ビタミンD3とセラミドとの間に相乗効果の増殖抑制と分化促進が認められた。以上の結果より、ビタミンD3はセラミドシグナルを介してテロメアーゼを抑制し、細胞をG0/G1へ誘導し分化並びにアポトーシス誘導に対して易感受性にしていることが示唆された。