ABSTRACT 1230(P4-10)
Competitive RT-PCR による大腸癌組織中hTRT定量化の有用性とtelomerase 活性との相関について:新山秀昭1、水元一博1、小川尚洋1、楠本正博1、前原直樹1、佐藤典宏1、壬生隆一1、木下盛敏2、福井崇史2、田中雅夫1(1九大・医・一外、2大塚製薬・アッセイ研)
A quantitive analysis of hTRT in colon cancer and correlation between hTRT and telomerase activity: Hideaki NIIYAMA1, Kazuhiro MIZUMOTO1, Takahiro OGAWA1, Masahiro KUSUMOTO1, Naoki MAEHARA1, Norihiro SATO1, Ryuichi MIBU1, Moritoshi KINOSHITA2, Takafumi FUKUI2, Masao TANAKA1(1Dept. Surg. 1, Fac. Med., Kyushu Univ., 2Otsuka Assay Labs., Otsuka Pharm.co., Ltd.)
【目的】telomeraseのcatalytic subunitであるhTRTの大腸癌組織におけるmRNA発現量をcompetitive RT-PCR(CRT-PCR)法を用いて測定し、臨床診断への応用の可能性とtelomerase活性との相関について検討した。【対象・方法】当科および関連施設で手術施行した大腸癌14例を対象とし、癌部、正常粘膜部について測定を行った。hTRTはAGPC法でtotal RNAを抽出し、濃度設定を行ったstandard RNA(competitor)を用いてRT-PCRを行い、電気泳動後、densitometerにより解析した。このhTRT値を同一検体より測定したβ-actin値で除することによりh-TRT発現量の定量化とした。telomerase活性はTRAP法に準じて測定した。【結果】hTRTは正常粘膜部でも全例に検出され、いずれの症例においても癌部の値が正常粘膜部の値よりも高値であった。癌部における中央値17500 (copy/mg RNA)は非癌部420 (copy/mg RNA)と比較して有意に高値を示した(P=0.0002)。telomerase活性は14例中11例が陽性(78.6%)で、癌部は非癌部より有意に高値を示した(P=0.0007)。hTRTとtelomerase活性値は正の相関を示す傾向にあるものの、有意差は認められなかった。【結語】本法は正常粘膜においてもhTRTが高頻度に検出され、hTRTの高感度な定量的測定法と考えられ、今後大腸癌症例を含めた臨床診断に応用できる可能性が示唆された。telomeraseとhTRTの相関に関しては今後の症例の集積が必要であると考られた。