ABSTRACT 1232(P4-10)
ヒト高齢者の大腸癌(癌部&非癌部)のテロメア長:仲村賢一1,田久保海誉1,泉山七生貴1,古郡栄樹1,新井冨生2,江崎行芳2,藤原睦憲3,押村光雄4(1都老人研・臨床病理,2都老人医療セ・病理,3日赤医療セ・病理,4鳥取大・医・細胞工学)
Telomeric Length of Colon Carcinoma in Elderly:Kenichi NAKAMURA1,Kaiyo TAKUBO1, Naotaka IZUMIYAMA1, Eiki Furugoori1,Tomio ARAI2, Yukiyoshi ESAKI2, Mutsunori Fujiwara3,Mitsuo Oshimura4(1Dept. of Clinical Pathol., Tokyo Metropolitan Inst. of Gerontology,2Dept.of Pathol.,Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital,3Dept.of Pathol.,Japanese Red Cross Medical Center,4Dept.,Mol.,Cell Genet.,Sch.Life Sci.,Tottori Univ.)
外科的に切除された大腸癌手術例の同一個体ごとの癌部組織と非癌部組織のテロメア長について比較検討した。また、新生児剖検例正常大腸粘膜のテロメア長を加え、加齢との関連についてもあわせて検討した。
【材料・方法】大腸癌57症例(男28例、女29例、年齢62〜97歳)の切除材料より、手術直後に非癌部粘膜と癌部組織を採取、液体窒素で凍結、また、正常若年剖検例(男3例、女2例、年齢1カ月以内)の大腸粘膜も剖検直後に液体窒素で凍結し、ともに使用時まで-80度Cで保存した。DNA抽出後、サザンブロット法により癌部組織と非癌部組織のテロメア長を測定した。【結果・考察】同一個体55例中51例において癌部組織のテロメア長は非癌部組織より短縮しており、癌部組織のテロメア長の平均は5.2±3.0kbp、非癌部組織は7.8±2.4kbpで、癌部組織のテロメア長は正常部組織より有意に短縮していた(p<0.001)。また、癌部組織と非癌部組織のテロメア長の間には、相関する傾向が認められた。さらに正常新生児の大腸粘膜のテロメア長は13.4kbpであり、正常部組織のテロメア長は加齢に伴い1年に67bp短縮することも明らかになった(r=-.5,p<.0001)。