ABSTRACT 1233(P4-10)
肝細胞癌におけるテロメラーゼ構成蛋白の発現について:利國信行1,能祖一裕1,東俊宏1,大西亨1,中務治重1,石崎正彦1,小林功幸1,金吉俊彦1,狩山和也1,山野智子1,辻孝夫1(1岡山大・医・一内)
Association of TP1 and hTRT with telomerase activity in human liver diseases:Nobuyuki TOSHIKUNI1, Kazuhiro NOUSO1, Toshihiro HIGASHI1, Tohru OHNISHI1, Harushige NAKATSUKASA1, Masahiko ISHIZAKI1, Yoshiyuki KOBAYASHI1, Toshihiko KANEYOSHI1, Kazuya KARIYAMA1, Tomoko YAMANO1and Takao TSUJI1 (11st. Dept. of Med. Okayama Univ. Sch. of Med.)
[目的]テロメラーゼは癌細胞の無限増殖能の獲得に重要な役割を有するリボヌクレオプロテインである。1997年にヒトテロメラーゼの2つの構成蛋白であるTP1 (telomerase-associated protein 1)及び hTRT (human telomerase reverse transcriptase) がクローニングされた。今回、我々はヒト肝細胞癌組織におけるこれらの蛋白の発現を解析し、テロメラーゼ活性との相関を検討した。
[方法]外科的に切除された肝細胞癌23例の癌部及び非癌部組織を用いてテロメラーゼ活性をTRAP法にて、またTP1 mRNA及びhTRT mRNAの発現量をRT-PCR法にて、それぞれ半定量した。
[結果]TP1 mRNAの発現量は癌部と非癌部で差がみられなかった。テロメラーゼ活性とTP1 mRNA発現量には相関がみられなかった。 一方、hTRT mRNAの発現量は非癌部よりも癌部で著明に増加しており(P<0.001)、脱分化の進行や径の増大に伴って増加する傾向がみられた。テロメラーゼ活性とhTRT mRNA発現量には強い相関がみられた(P<0.001)。
[結論]ヒト肝細胞癌組織において hTRT mRNAの発現量はテロメラーゼ活性と強く相関しており、hTRTがテロメラーゼ活性を制御する構成蛋白であることが示唆された。