ABSTRACT 1234(P4-10)
 ポスターセッション一覧 トップ 


肝細胞癌における定量的テロメレース活性およびテロメア長測定の臨床意義: 北岡文生、高山和之、古井純一郎、兼松隆之 (長崎大学医学部第二外科)

Telomerase activity and telomere length in hepatocelluar carcinoma: Fumio KITAOKA, Kazuyuki TAKAYAMA, Junichiro FURUI, Takashi KANEMATSU (Dept. of Surg. II, Nagasaki Univ. Sch. of Med.)

【目的】テロメレース活性は癌細胞に高頻度に検出されることより、癌の新たなマーカーとして注目を集めている。今回、我々は、肝細胞癌のテロメレース活性およびテロメア長を定量的に測定し、両者の臨床的意義について検討した。
【対象と方法】肝細胞E癌 (HCC) 24例、局所性結節性過形成(FNH) 2例、肝硬変 (LC) 8例、慢性肝炎 (CH) 10例、正常肝組織8例を対象とし、すべて摘出肝組織凍結標本を用いた。テロメレース活性測定は定量性に優れるStretch PCR法を用い、肝癌細胞株であるHepG2のテロメレース活性を100Uとして0.01U未満を陰性とした。またテロメア長はsouthern blot 法を用いて測定した。
【結果】HCCのテロメレース活性は陽性率、活性値ともに非癌肝組織に比べ有意に高かった。 (p<0.01) また、肝細胞癌において、テロメレース活性とテロメア長は相関しなかったが、臨床病期の高い症例、門脈塞栓や肝内転移を認める症例では有意にテロメア長が短縮していた。(p<0.05) また、テロメレースが高活性でテロメア長の短縮を認める症例では再発率が高い傾向にあった。
【考察】肝細胞癌においてテロメレース活性は有用な癌のマーカーとなりえることが示唆された。また、テロメレース活性およびテロメア長の測定は肝細胞癌の悪性度の指標の一つになる可能性が示唆された。