ABSTRACT 1235(P4-10)
肝細胞癌における各種テロメラーゼ 関連遺伝子の検討:高石英樹1,中塩 了1,高橋祥一1,北本幹也1,中西敏夫1,田原栄治2,田原栄俊2,井出利憲2,梶山梧朗1(広島大・医・1第一内科,2総合薬)
Expression of telomerase component genes in hepatocellular carcinoma: Hideki TAKAISHI1, Ryo NAKASHIO1, Shoichi TAKAHASHI1, Mikiya KITAMOTO1, Toshio NAKANISHI1, Eiji TAHARA2, Hidetoshi TAHARA2, Toshinori IDE2, Goro KAJIYAMA1 (1First Dept. Int. Med., 2 Dept. Cell. Mol. Biol. Hiroshima Univ. Sch. Med.)
【目的】近年,テロメラーゼ関連遺伝子であるhTRT (human telomerase reverse transcriptase),TP1(telomerase- associated protein 1)などがクローニングされ,hTR (human telomerase RNA component) を含め各々の意義について検討がなされている。今回我々は,肝細胞癌における発現について検討した。【対象と方法】肝細胞癌34例を対象とし,慢性肝疾患22例と比較検討した。hTRT,TP1,hTR の発現についてはRT-PCR法を行ない,胃癌培養細胞MKN-1のRNA量に換算した。【結果】hTRTは慢性肝疾患に比較して肝細胞癌において有意に発現量が多かった。hTRの発現も肝細胞癌で増大傾向にあったが,慢性肝疾患にも発現を認めた。TP1は肝細胞癌,慢性肝疾患ともに発現を認めた。テロメラーゼ活性との検討では,hTRTの発現量の多い肝細胞癌は,テロメラーゼ活性も強い傾向にあった。各テロメラーゼ関連遺伝子の関係を見ると,テロメラーゼ活性の強い肝細胞癌はhTRT,hTRとも発現が増加しているものが多かった。MKN-1 0.01μg当量以上の発現を強陽性とし,hTRTの発現を分化度別に検討すると 高分化,中分化,低分化で86% ,73% ,100%であった。【結語】肝細胞癌において,テロメラーゼ関連遺伝子のうちhTRTはテロメラーゼ活性と同様高頻度に発現を認め,細胞の不死化に関与することが示唆された。