ABSTRACT 1237(P4-10)
甲状腺腫瘍におけるテロメラーゼ活性の検討:石川哲郎1、小野田尚佳1,2、平川弘聖、澤田鉄二、仲田文造1、加藤保之1,2、曽和融生3 (1大阪市大・医・1外,2大阪市大・医・老年研腫瘍,3大阪市総合医療セ)
Detection of telomerase activities in thyroid tumors : Tetsuro ISHIKAWA1, Naoyoshi ONODA1,2, Kosei HIRAKAWA-Y.S. Chung, Tetsuji SAWADA, Bunzo NAKATA1, Yasuyuki KATO1,2, Michio SOWA3 (11st Dept.of Surg.,Osaka City Univ.Med.Scl., 2Dept.of Oncol.,Osaka City Univ.Med.Scl., 3Osaka City General Hosp.)
[目的] 体細胞において通常見られないテロメアーゼ活性は、種々の癌細胞において見られることが知られており、細胞の不死化や癌化に強い関連があることが示唆されている。今回、われわれは、甲状腺腫瘍組織での活性を検討した。 [対象と方法] 19971月から98年3月に教室で切除された甲状腺腫瘍の症例を対象とした。組織は、切除後すみやかに液体窒素にて凍結し、検討まで-80℃に保存した。活性は、ONCOR社のTelomerase Detection Kit を用い、TRAP (Telomeric Repeat Amplification Protocol) 法で測定し、内部標準の活性値と比較することで半定量化した。 [結果] 良性腫瘍の4例では活性は検出されなかった。悪性腫瘍(乳頭癌9例、髄様癌1例、未分化癌1例)では、15病巣中9病巣(60%)で16-150単位の活性が検出された。また、リンパ節転移巣でも、検討した5病巣中4病巣(80%)で 19-127単位の高い活性が見られた。さらに、担癌甲状腺の非癌部でも9例中6例 (67%)と高率に活性が検出され、その活性値も21-166とむしろ癌組織より高い傾向にあった。これら非癌部で活性陽性の6例中5例では、癌部でも陽性であった。 [結語] 甲状腺癌、転移巣で、活性が検出された。しかし、他臓器癌に比べて検出頻度は低く、さらに担癌甲状腺の非癌部でも同様の活性が検出され、甲状腺癌の特異性を検討する上で、興味ある知見と考えられた。